2026/01/26
電動スコップのカタログに「無負荷回転数」という項目がある。正直なところ、この数値は実用上ほとんど意味がない。
だが、私は実際に電動スコップを使い続けるなかで、この「無負荷」の状態に、ある種の心地よさを感じるようになった。
無負荷回転数とは何か
無負荷回転数とは、電動工具が何も負荷をかけていない状態——つまり空回しの状態での回転数だ。
電動スコップ(電動ハンマー)は基本的に「打撃」で作業する。回転ではなく、上下の打撃で土に食い込む。だから、回転数という数値はあまり重視されない。カタログに載っていても、多くの人はスルーするだろう。
実際、土を掘っているときに、この数値が作業効率に影響することはない。
アイドリングの「タタタタタ」
だが、電動スコップを使っていると、土に挿していない時間が必ずある。
スイッチを入れて、土に挿し込む前の一瞬。土から引き抜いて、次のポイントに移動する数秒間。作業を終えて、スイッチを切る直前。
この「無負荷」の状態で、電動スコップは軽く「タタタタタ」と動いている。
原付バイクに乗ったことがある人なら、わかるかもしれない。信号待ちでエンジンがアイドリングしているときの、あの軽い振動。走っているわけではないのに、機械が「生きている」感覚。
電動スコップのアイドリングにも、それに近いものがある。
心地よさ、という価値
これは完全に感覚的な話だ。作業効率には関係ない。カタログスペックで比較する意味もない。
だが、道具を使う楽しさには、こういう「意味のない心地よさ」が含まれている。
土を掘るという重労働のなかで、ふと手を止めたときに感じる機械の鼓動。次の作業に向かう前の、ほんの数秒の「タタタタタ」。それが、なんとなく心地いい。
効率だけを追い求めるなら、ソフトノーロード機能で無負荷時の打撃を止めてしまったほうがいい。機械への負担も減るし、消費電力も抑えられる。合理的だ。
だが、あの「タタタタタ」がなくなると、ちょっと寂しい気もする。
道具との付き合い方
電動スコップは道具だ。目的は土を掘ること。効率よく、体に負担をかけずに作業を終えることが大事だ。
だが、道具との付き合いは、効率だけでは測れない部分がある。
手に馴染む感覚。使い込むほどに生まれる愛着。そして、アイドリングの心地よさ。
無負荷回転数という数値自体に意味はない。だが、その数値が示す「無負荷の状態」には、使う人にしかわからない心地よさがある。
結論
無負荷回転数は、電動スコップの実用上はほとんど意味のない数値だ。土を掘る作業には影響しない。
だが、アイドリング状態の「タタタタタ」という軽い動きには、原付バイクのアイドリングに似た心地よさがある。機械が生きている感覚。次の作業への準備が整っている感覚。
効率とは別の、道具を使う楽しさ。無負荷回転数は、そういう「意味のない心地よさ」を教えてくれる数値なのかもしれない。